キングチャイヨー詩画集/鬼使神差
¥1,500
SOLD OUT
キングチャイヨー King Chaiyo 映像作家としての側面を持つキングチャイヨー(勿論、これはペンネームであるが)は、詩/絵画の世界に於いては無名な作家だ。〈1972〜 〉アンダーグラウンドの舞台とはいえ、彼をこの様な形で表に引っ張り出すという試みはあくまでこちらの意図であり、当の本人の賛否は出版へとこぎつけた今も不明だ。そもそも有名になりたいという意思が彼には無いのである。
商業的に制作された映像作品を除き、未発表のフィクションの小説が数本と、スケッチブックに収められた数十枚の絵画、コラボレーションとしてリリースされたジンがセットのTシャツ、ショートフィルム一本というものが、これまでの彼の作品の全てである。
彼の持つ世界観は生い立ちに起因するものがほとんどであるが、拒絶によって生じた孤独ではなく、いつも側で慣れ親しんだ孤独がそれであるだろう。深い闇をまとった山に囲まれた過疎化した村で、極端に狭い社会でのコミュニケーションは、郊外と呼ばれる地域に於いてはなんの変哲もない事象であろう。だが、彼の作品に漂う空気には、いわゆる「サバービア」としての括りだけではとても収まりきれないものがある。静かなる破壊衝動、反グローバルのメッセージ、皮肉、ビート文学からの影響、これらもとりたてて特異なものではないが、オーストラリアでの生活、幾度かのアメリカへの渡航など、それらの経験がさらなるリアリティをもたらしている。 そして、安定を否定し、葛藤する社会生活から生まれた作品には、生まれ育った山梨県の山奥に潜む、うっすらと見えるか見えないかの霊的なものの存在を感じてしまう。これこそが先に述べた彼の孤独であり、そこから生まれた自分自身との対話が、寓話として具現化されたものが彼の作品そのものであると推測する。
商業的に制作された映像作品を除き、未発表のフィクションの小説が数本と、スケッチブックに収められた数十枚の絵画、コラボレーションとしてリリースされたジンがセットのTシャツ、ショートフィルム一本というものが、これまでの彼の作品の全てである。
彼の持つ世界観は生い立ちに起因するものがほとんどであるが、拒絶によって生じた孤独ではなく、いつも側で慣れ親しんだ孤独がそれであるだろう。深い闇をまとった山に囲まれた過疎化した村で、極端に狭い社会でのコミュニケーションは、郊外と呼ばれる地域に於いてはなんの変哲もない事象であろう。だが、彼の作品に漂う空気には、いわゆる「サバービア」としての括りだけではとても収まりきれないものがある。静かなる破壊衝動、反グローバルのメッセージ、皮肉、ビート文学からの影響、これらもとりたてて特異なものではないが、オーストラリアでの生活、幾度かのアメリカへの渡航など、それらの経験がさらなるリアリティをもたらしている。 そして、安定を否定し、葛藤する社会生活から生まれた作品には、生まれ育った山梨県の山奥に潜む、うっすらと見えるか見えないかの霊的なものの存在を感じてしまう。これこそが先に述べた彼の孤独であり、そこから生まれた自分自身との対話が、寓話として具現化されたものが彼の作品そのものであると推測する。